不正都市ボーイズ「ダメージジーンズでカンニング」――見えない不正の工夫と、バレない発想の怖さ不正


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視聴者投稿で「不正」を集めた回

都市ボーイズは前回に続く流れとして「ドーピング」や「不正」にまつわる投稿を募り、届いた体験談を読み上げながら、スポーツの闇から日常の小さな不正までを一続きの問題として捉えていく。話題はまず、本人の意思を超えて身体や人生を変えてしまう“強制的なドーピング”の事例から始まる。

1. ドーピングで男性化し、結果的に性別移行に至ったとされる話

最初に紹介されるのは、「本人が知らないうちに薬物を摂取させられ、筋肉がつきすぎて身体が男性化し、のちに性別移行して男性として暮らしている」という趣旨の投稿である。岸本はこの投稿に関連して、自分が前回扱おうとしていた人物として、旧東ドイツの女子砲丸投選手ハイディ・クリーガー(後にアンドレアスとして生活)を挙げる。長期にわたるドーピングの副作用で外見が男性化し、女性としての生活が困難になった、という語り口で、当人が「知らされずに投与された」点を悲惨さとして強調する。早瀬も、コーチが“ビタミン剤”などと称して飲ませ続ければ見分けがつかない、という構造の残酷さに言及する。

ここで押さえるべきは、「ドーピングが“性転換を直接生む”」と単純に断定できるかどうかである。少なくとも医学的には、女性が同化アンドロゲンステロイド等を長期・高用量で使用した場合、声の低音化、体毛増加、月経異常、クリトリス肥大などの男性化(virilization)が起こり得ることがレビューで整理されている。動画で語られる「男性化して女性として生活できない」という表現は、この種の副作用の延長線上で理解できる一方、性自認や性別移行の決定までを薬物のみで説明することには慎重さが必要である。
また、クリーガーの件については、旧東ドイツの組織的ドーピングの被害と結び付けて紹介され、本人の語りとして「科学的に“ドーピングがトランスセクシュアリティを証明する”とは言えないが、引き金になり得る」という整理も見られる。
加えて、旧東ドイツの国家ドーピング(未成年を含む体系的投与、いわゆる“青い錠剤”など)の経緯を年表的に示す公的な啓発ページも存在し、動画内の「ビタミン剤として飲まされた」という筋立てと親和的である。

2. 中国での遺伝子操作:兵士だけでなくスポーツにも及ぶのか

次に岸本は、投稿者の「中国では暗闇でも目が見える、怪力などの特殊能力を持つ兵士を遺伝子操作で作っていると囁かれており、スポーツ選手にも行われているのでは」という邪推を紹介する。ここでは“断定”ではなく、あくまで噂と疑念の形で語られ、技術が軍事・競技に転用され得るという不気味さが前景化する。

現実の中国における遺伝子編集をめぐっては、胚のゲノム編集を行い「遺伝子編集ベビー」が生まれたとする主張を出した賀建奎(He Jiankui)をめぐり、科学界・当局・社会から強い批判と調査が起きた経緯が報じられている。動画が扱う“超人兵士”の真偽は別として、「技術が倫理と統治を突き抜ける可能性」自体は、こうした実例が想起させる問題系として読める。
さらに、賀建奎本人の出所後の動きや、胚編集の将来をなお肯定的に語る姿を伝えるインタビューもあり、技術が止まらない現実が示唆される。

3. ロシア女子フィギュアの「急激な強さ」と「早期引退」への疑念

続けて投稿者は、ソチ五輪の頃からロシアの女子フィギュアが急激に強くなったのは怪しいのではないか、と述べる。筋肉質な少女が高難度ジャンプを次々に成功させる一方、他国なら疲労骨折などの話が出ても不思議ではないのに、ロシアだけ様相が違って見える、という違和感が語られる。岸本も「まったく同じことを思っていた」と共鳴し、技術進歩(例:トリプルアクセルが主流だった時代から、四回転が増える局面)と、特定国に集中する現象の不自然さを口にする。さらに早瀬は、ロシアの選手が「すぐ辞めてしまう」印象にも触れ、ピークの短さが逆に疑念を強める、という含みを残す。

この点は動画内では推測の域を出ないが、ロシアをめぐるドーピング問題自体は近年も国際的議論の中心であり、北京五輪でのフィギュア選手ワリエワの件を契機に、組織的ドーピングの歴史と制裁の文脈が解説されている。都市ボーイズが抱く「国全体の強化の異様さ」という感覚は、こうした背景知識と接続し得る。
また、当該問題が単なる個人の不祥事ではなく、政治や統治と絡む構造として語られる論考もある。

4. 不正体験談へ:学校マラソンと「吸入器」の自己ドーピング

ここから都市ボーイズは、視聴者が実際に行った不正の話に移る。最初は、中学時代に喘息を患い、マラソン大会を棄権していた投稿者の体験である。病院で処方されたサルブタモールの吸入薬を、中学3年のマラソン大会でこっそり持ち込み、苦しくなるたびに使用すると、息苦しさが消えるだけでなく、身体が“解けた”ように走れて学年10位に入ったという。翌日、体育教師に呼び出され、事情を話すと「気持ちは分かるが良くない」と諭され、掲示の順位表から名前が消され「反則失格」とされた。本人は「中学3年で(自分は)ステロイドドーピング違反で失格になった」という自嘲で締めている。岸本と早瀬は、薬の効果が“鍛錬を上回る”ように感じられる怖さに驚き、もし常用して競技に持ち込めば、別の競技でも同様の誘惑が生まれるのではないか、と話を膨らませる。

なお競技規則の側では、サルブタモールはβ2刺激薬として規制が整理されており、吸入による使用量上限など、例外規定と閾値の枠組みが存在する。動画の中学生の事例は学校行事での倫理の話として語られているが、「薬が“治療”から“優位性”へ滑る」境界がいかに難しいかは、制度側の細かな線引き自体が物語っている。

5. 無賃利用:プールに忍び込んだ少年と「叱られない」結末

次の投稿は、プールの受付を正規に通らず、窓口の下をくぐって友人が支払いをしている間に這って侵入し、無賃で利用していたという話である。ところがある日、管理のおじさんに声をかけられ、怒られると思ったら、相手は笑顔でそれ以上何も言わなかった。投稿者は後になって、小さな街で自分の家が貧乏であること、だから忍び込んでいることをおじさんは察していたのではないか、と解釈し、その年は一度もプールに入らなかったという。都市ボーイズは、協力してくれる友達の存在も含めて後味の悪さを受け止め、笑顔がかえって刺さる構図を噛みしめる。

6. 高校の定期テスト替え玉:双子が学校を入れ替わった事件

続いて塾講師を名乗る投稿者が、卒業生から聞いた“とんでもない不正”として、双子による替え玉受験を紹介する。兄は勉強ができ進学校、弟は別の高校に進学していたが、弟の高校の定期テストで兄が弟に成り代わって受験し、同時に弟は兄の高校へ行く、という入れ替えが行われたという。教師は気付かず、友人は気付いたが黙っていたのではないか、と語られる。岸本は、江戸川乱歩や星新一のような“古典的トリック”が現代でも成立してしまう不気味さを口にし、早瀬も「いま本当にあるのか」と驚きながら話に乗る。

7. もう一つの双子替え玉:先生は意外なほど気付かない

さらに別の投稿で、一卵性双生児が別クラスで入れ替わったら先生は気付くのか、という“実地実験”が語られる。最初は一度きりのつもりが、調子に乗って続け、姉は数学が苦手・国語が得意、妹は逆、という得手不得手の差があるのに入れ替えが成立してしまった可能性まで示唆される。だが最終的には学級委員長が気付き、職員室に呼ばれて叱られる。「何が分かった」と問われ、「先生は意外と気付かない」と答えてさらに怒られた、という結末が、悪ふざけの軽さと制度の脆さを同時に見せる。都市ボーイズは、双子という“似ている”存在が持つ物語性(漫画『タッチ』の連想など)にも触れつつ、現実の不正の成立に薄寒さを残す。

8. ダメージジーンズでカンニング:見せる皮膚を“答案用紙”にする

最後に紹介されるのは、大学生の投稿者がテスト勉強をしていなかったために考案したカンニングである。太ももに数式や単語を書き込み、膝丈ほどのダメージジーンズ(あるいは同様に肌が見える衣服)を着用し、寝たふりをしながら破れ目から見える文字で答えを確認したという。周囲の視線が来れば足を組み替えて隠す。都市ボーイズは「頭いい」と感心しつつも、努力せずに攻略法だけが洗練されていく現代的な“発想の鋭さ”に、笑いと苦さを混ぜて受け止める。

結語:巨大な不正から、身近な不正へ――同じ線上にあるもの

この回が示すのは、国家規模のドーピング疑惑や遺伝子操作の噂と、学校や日常で起きる不正が、まったく無関係ではないという感覚である。強制的に投与され人生を変えられる悲劇から、勝ちたい・得したい・バレたくないという小さな衝動まで、すべてが「正当な手続きの外側で利益を得る」一点でつながる。都市ボーイズは、投稿の面白さに笑いながらも、最後には“不正は工夫で成立してしまう”という不穏さを残して回を閉じる。

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