都市ボーイズが追う“ネットの怖い話”――
冒頭、都市ボーイズの「都市伝説ミュージアム」として、早瀬さん(右側)が「ネットにまつわる恐ろしい話」を募集している旨を述べ、届いた投稿を順に紹介していく流れで始まる。対象は“自分で体験した話”でも“ネットで見かけた話”でもよいとして、まずはコメント欄の投稿から取り上げる。
1)奇妙なアカウントを見つけた話
最初の話題は、長らく動いていなかったX(旧Twitter)のアカウントが、ある日突然「北海道の湖」に関する位置情報(地図URL)を投下して話題になった、という内容である。投稿者は、もともと自傷をうかがわせるような“きつい匂い”のある発信をしていた人物に見えたため、「湖の底からの投稿ではないか」などとも言われていた、と前置きされる。
早瀬さんは実際にそのアカウントを調べたとして、普段のつぶやき自体は一見普通に見えるが、自傷や奇妙な絵など、確かに精神的に不安定そうな断片が混ざるタイプだったと整理する。さらに時系列として、ある投稿(薬の話題を含むような書き込み)の後に一年以上沈黙し、そののち突然、北海道の「しり別子」という湖名と、文字化けのような不可解な文字列、そしてGoogleマップのURLが貼られていた点を説明する。湖名自体は実在し、リンク先もその湖に飛べてしまうため、受け手にとっては「何を意図した投稿なのか」が分からず、ただ不気味さだけが残る。
また、その投稿からさらに年単位で間が空いた後、今度は「YouTube ○○(人名のような文字列)」とGoogleアカウントに関連するURLが1件だけ投下されているが、リンク先はログインを要求する画面に遷移し、パスワードが分からない限り中身に到達できない仕組みになっているという。返信欄には「まだ成仏できないのか」といった文脈の反応もあり、湖で亡くなった人物が“何かを残そうとしている”かのように読まれてしまう構図ができていた、と早瀬さんは語る。さらに、その人物は別サイト(イラスト投稿系)も過去で更新が止まっており、生存も不明である点が、憶測を加速させる要因になっているとまとめる。
2)さまざまな奇妙ツイートの話
次にDMで「これも見てほしい」と送られてきた別の不気味なアカウント群を紹介する。ひとつは「デボーション(愛情のような意味)」という名前のアカウントで、投稿が始まった日と終わった日が同一日であり、短文を1行ずつ刻むようにして「本当にごめんなさい」「連絡があった」「息を引き取った」など、断片的な謝罪と不穏な報告が連続している。行間に具体性がない一方、静かに罪悪感だけが積み上がる書き方で、読み手に強い不安を残すタイプの投稿である、と早瀬さんは受け止める。
さらに、このアカウントが特定の別アカウントをフォローしており、その先を辿ると、今度は短期間だけ意味不明な言葉の羅列や、酔っているのか寝ぼけているのか判別しづらい自己言及が並ぶアカウントが出てくるという。そのアカウントもやはり一週間足らずで止まり、加えて別の鍵アカウントへ繋がるような構図が見えるが、鍵がかかっているため確認できない。
早瀬さんは、これらを検索していく過程で、Yahoo!知恵袋に「不気味なXアカウントは何か」という趣旨の質問が立っており、回答として「大学生の女性が亡くなった恋人への思いを吐き出すためのアカウントに見える」といった推測や、「精神疾患や障害の可能性」などが挙げられていたことを紹介する。だが結局、外からは断定できず、今は鍵もかかっていて余計に分からない、と整理する。
一方で岸本さん側(左)も、複数アカウントを同一人物が動かし、短期間だけ投下して“話題化”を狙う形もあり得るのではないか、と感想を述べる。早瀬さんも、伝えたい相手がいるのなら手紙でも直接連絡でもよいはずで、わざわざ不特定多数が見る場所に、しかも短期間だけ投げて止める意味が見えづらいことから、「釣り」や「注目されたい」などの動機を疑う見方が、自分の中では現実的だと結論づける。
3)中古住宅を買い、住所を調べられているのではという話
続いて早瀬さんは、ネット上の怖い話を“まとめた投稿”として、複数の短編を読み上げる。その中に「中古で家を買ったが間取りが変で、もう一部屋ありそうなので壁を壊したところ襖が出てきて、四畳半ほどの部屋が現れ、中央に布団がこんもり盛られ、枕元に日本人形があり、布団の中から女性物の服が大量に出てきた。さらに髪の毛の束や、箱に入った“へその緒”のようなものが出て作業中止になった」という趣旨の話がある。聞き手としては強烈に怖いが、早瀬さんは「へその緒を箱に入れて保管する」風習自体は地域によってはあり得る、という現実側の情報も挟み、知らない人が見たときの恐怖と、当事者文化のギャップが“怪談化”を起こす、と捉える。
同じ流れで、道に「フライパンとお玉とエビチリが落ちていた」という一見ふざけた話が出るが、そこに対して「探偵が住所を特定するとき、だいたいの範囲を絞った後に“変な物”をわざと置いて、投稿者がそれを発信した反応で場所を絞り込む」という説明が付いていた点を、早瀬さんは“なるほど”として拾う。ここで岸本さんも早瀬さんも、住所や生活圏の特定が、必ずしも高度なハッキングではなく、反応を誘導して情報を引き出すような手口で進むことがある、と怖さの質を言語化する。
さらに早瀬さんは私的な例として、知人の芸人が、店で見かけた女性に対し「芸能人の○○に似ている」と意図的に的外れな人物名を言い、相手が周囲に「似てるかな?」と相談して回る様子や会話から、性格・交友・立ち位置などのプロフィール情報を集めていく、という“引っかけ”をしていた話を挟む。本人はナンパの一種としてやっていたが、目的が「追跡」や「特定」に寄ると、ネットストーカー的な情報収集の発想に接続してしまう、として、笑い話の形を取りつつも気味悪さを残す。
4)落とし物を拾った話
次に早瀬さんは「落とし物」をめぐる投稿を取り上げる。落とし物をして警察から連絡があり受け取りに行ったところ、「拾得者へのお礼の電話を希望している」「連絡がない場合、あなたの氏名・電話番号を拾得者に伝えることがある」といった趣旨の文書を渡された、という内容である。投稿者は個人情報を出したくないため公衆電話でかけたが出てもらえず、結局携帯で連絡したところ「どんな人か会いたかった」と言われて怖かった、警察の対応は正しいのか、という疑問形で話が締まる。
これに対し岸本さんは、そもそもそのような文書の運用自体が不自然ではないか、という違和感を示し、早瀬さんも「お礼より個人情報のほうが重いはずで、そこを引き換えにする理屈が通りにくい」として、内容の奇妙さを強調する。制度や手続の名目を借りて、連絡先を引き出そうとする人間が混じり得るのでは、という“ネットの怖さ”と地続きの警戒感で、この短編は処理される。
5)ネットストーカーの話
最後に早瀬さんは、視聴者から届いた「ネットストーカーをしていたら、逆にリアル側で絡まれた」という長文投稿を読む。投稿者は舞台役者を8年応援してきた“ガチ勢”で、舞台は全通し、贈り物や手紙、配信の視聴・コメント・投げ銭も欠かさず、相手にも周囲にも“いつもいるファン”として認知されている、と自己申告する。だが入り待ち出待ちなどの迷惑行為はしておらず、やっているのはネット上での情報追跡、つまり「ネットストーカーをしているだけ」と言い切る。
役者は大阪出身だが活動拠点を東京へ移し、住んでいた街や過去の住まいも投稿者は把握していた。ところが役者が引っ越した後、配信中に「瓶の蓋は何ゴミか」と地域差のある質問をされ、投稿者が答える流れがあったことで、投稿者は「なぜ自分にそんなことを聞くのか」と怖くなる。さらに、配信の検索窓などから最寄り駅が漏れ、最終的に住所が知られる形になったが、驚くべきことに新居は投稿者と同じ町内で、しかも相手の玄関から投稿者のマンションが見える距離だという。役者本人は「ファンの住所は見ない」と言うが、年賀状のやり取り等で住所データがPCに入っているはずで、ゴミ分別を自分に聞いたこととも整合しない、と投稿者は疑う。そして「ネットで見ていただけの相手に、なぜ現実側で迫られるのか」「偶然なら運命だが、契約更新が来ても引っ越してくれない」と混乱したまま訴える。
ネットストーカー(一般情報)
ここで一般論として言えば、ネットストーキングは、SNS投稿・配信・写真・発言の断片を突き合わせ、行動圏や人間関係、居住地のヒントを集めて相手を継続的に追跡・監視する行為を指すことが多い。手段は「公開情報の執拗な収集」に見えても、反復性と執着が加わると、つきまとい・監視・連続連絡・位置情報の無断取得等へ発展し得る点が問題になる。警察庁はストーカー行為等を規制する枠組みと相談先を整理しており、SNS等も含めた“つきまとい”が深刻化する前の相談を促している。
終盤、二人は「2ちゃん怪談」系の長文投稿は今回は長すぎて読めないとして除外し、改めて“ネットで体験した怖い話”“怖いアカウントを見た話”などを募集すると告知する。最後にメンバーシップの案内を入れて締め、回全体としては「不気味なアカウントの断片」「住所や個人情報が絞り込まれる不安」「ネットストーキングの境界」といったテーマとなっている。
