1. 導入:Netflix配信で改めて観た「SMILE(スマイル)」
都市ボーイズの回は、岸本さん/早瀬さんのおすすめ紹介として、映画「SMILE(スマイル)」の話から入る。早瀬さんは、数年前の劇場公開時から本作が気になっていたと述べ、その理由を「ポスター(フライヤー)の不気味さ」に置く。内容をほとんど知らないまま、CM等も避けて、Netflixに上がったのを機に視聴したところ、想像以上に強烈だった、という流れで語り始める。
2. 作品の輪郭:主人公は多忙な精神科医、日常の摩耗が前提にある
早瀬さんはまず、ストーリーを「簡単に説明する」として、主人公が女性の精神科医であることを押さえる。仕事は激務で、病院から家にもなかなか帰れないほど忙しいが、患者に丁寧に向き合い、能力も評価されている人物として描かれる、という導入である。つまり“怪異”以前に、疲労と責任が重なった状態が主人公の地盤として設定されている、と早瀬さんは整理する。
3. 異変の兆し①:不可解な男性患者と「みんな死ぬ」の連呼
物語は、病院に何度も来る男性患者の異様さから不穏さを増す。汗と涙を流しながら「みんな死ぬ」「僕のせいじゃない」と繰り返し、問いかけても反応が噛み合わない。早瀬さんはこの反復が、説明不能な恐怖の“前触れ”として効いている、と語る。ここで既に、精神疾患の症状のようにも、別の何かに追い詰められているようにも見える、という含みが生まれる。
4. 異変の兆し②:大学院生の告白と“笑顔で見てくる何か”
次に別の女性(大学院生)が、強いショック状態で搬送され、主人公が面談する。彼女は「教授が目の前で死んだ」体験を語り、さらに「友人や知人のふりをして、笑顔でこちらを見てくる“何か”がいる」と訴える。誰も信じてくれない、と前置きした上での告白であり、主人公は話を聞く姿勢を示すが、直後に状況が急転する。
5. 決定的な場面:破片を握って“ニコッ”と笑う自死
早瀬さんが特に強調するのが、大学院生が突如として花瓶を割り、その破片を握りしめながら“笑って”自らの命を絶つ場面である。恐怖は「驚かせる」よりも「気持ち悪さ」として刺さり、笑顔と惨劇が結びつくことで、観客の感覚が壊される。岸本さんもその描写の強さに反応し、ここから先の展開が主人公を決定的に変えていく、と話が続く。
6. 主人公側に波及:職場でも“笑顔”が侵入し、疑われ始める
事件後、主人公自身もショックを受け、周囲から休むよう言われるが、仕事を続けようとする。すると先ほどの男性患者が、これまでにない攻撃性を見せ、「お前も死ぬ」と主人公に迫るような言動に至る。スタッフが拘束するものの、上司は「今までそんなことはなかった」「疲れで勘違いしていないか」と主人公の受け取り方を疑う。ここで“怪異の証明”ができないまま、主人公の現実感が孤立していく構図が生まれる。
7. 私生活の崩壊:防犯ブザー、電話、幻聴、そして決定的な出来事
異変は職場に留まらず、自宅でも連鎖する。暗闇で防犯ブザーが鳴り、侵入を疑うが誰もいない。防犯センターから電話が来て対応するが、「後ろを振り向いてください」と促され、しかも途中から“電話を持っていないのに”着信のような現象が起きる。さらに、不気味な女性の気配、声、幻覚・幻聴のような体験が重なり、主人公は正常な判断の足場を失っていく。
早瀬さんの説明では、甥の誕生日に渡したはずのプレゼント箱に、自分の飼い猫の遺体が入っていた、という衝撃的な出来事まで起きる。主人公は「自分はやっていない」と訴えても、状況だけが彼女を追い詰め、結局は心身の限界を示す形になる。ここまでの積み重ねが、単なる怪談ではなく、現実そのものが崩れていく恐怖として機能している、という評価に結びつく。
8. 物語のルール(早瀬さんの整理):死の目撃が“連鎖”する
早瀬さんはここで、作品の骨格を「死を目撃した人が次に追い詰められ、その死を誰かが目撃してまた連鎖する」と整理する。大学院生が見た教授の死、その後に起きた事件、主人公が見始めた“ニコニコ笑うもの”が一本につながり、“感染”のように移っていく構造が示唆される、という説明である。
9. 早瀬さんの途中離脱:怖さというより「気持ち悪さ」で止まった
ただし早瀬さんは、最終的なオチまで到達していないと明言する。怖すぎて、そして気持ち悪さが勝って「この先は見ていられない」となり、途中で視聴をやめた、という。Netflix配信で自宅視聴だったからこそ途中離脱できた、というニュアンスで、劇場だったら逃げ場がない怖さだった、と感想が述べられる。
10. 制作背景に触れる:監督・短編・主演の話
話題は作品の作りへ移り、早瀬さんは監督がパーカー・フィンであること、もともと短編から長編化された経緯があることを挙げる。また主演のソシー・ベーコンがケヴィン・ベーコンの娘であり、顔立ちが似ていて驚いた、という雑談も挟まる。ここは“作品の怖さ”の息抜きとして語られるが、同時に「よくできた作品」という評価が明確になる箇所でもある。
11. 主要テーマ:病気か怪異か、呪いか思い込みか
早瀬さんが最終的に面白いと感じた論点は、「これは主人公の思い込み(精神的な崩れ)なのか、それとも本当に呪い・怪異があるのか」という二重性である。最後まで観ていないため答えは断言できないが、少なくとも途中段階では両方に見える作りで、そこが恐怖の核になっている、と語る。岸本さんも、日本人が好みそうな“Jホラーっぽさ”を感じる、という反応を返す。
12. 早瀬さん自身の体験談:追い詰められた時に見えたもの
ここから早瀬さんは、自分が過去に「幽霊を見たことがある」として、実体験を語り始める。ただし結論は「霊というより、精神的に病んで追い込まれていた時期に、幻覚・幻聴的に見えたのではないか」という自己整理である。AD時代の極度の疲弊、YouTube初期の過酷な編集環境、睡眠不足や多重負荷が重なり、現実感が歪んだ結果として“それらしいもの”を見た可能性を語る。
具体例として、駅のエスカレーター脇の鏡面に、黒い薄いものが体にまとわりつき、横にもう一つ顔が見えたように感じた話、また夜中に外へ出た際、隣家の二階ベランダに腕組みした男がこちらを見ているように感じたが、後で見返すとそもそもそこにベランダがなかった、という話が語られる。いずれも、現象それ自体より「追い詰められた精神状態が、見え方を変える」という点が強調される。
13. 結語:SMILEは“死に触れること”と“精神の崩れ”を接続する映画として怖い
早瀬さんは、自分の体験の整理を踏まえ、「SMILE」もまた、死に触れることで何かがつながっていく(呪い/感染)話でありながら、同時にショックや疲弊で精神が崩れていく(幻覚/幻聴)話としても見える点が非常に怖い、とまとめる。だからこそ、どちらが真相かを確かめたくなるが、自分は途中で止まったので、視聴者にはぜひ観て判断してほしい、という呼びかけで締める。最後にメンバーシップ案内を挟んで終了する。
「SMILE」ストーリー(早瀬さんの説明に沿った超簡易まとめ)
精神科医の主人公が、笑顔を浮かべたまま起きる衝撃的な自死を目撃した日から、不気味な“笑顔”と不可解な現象に追い詰められていく。死の目撃を起点に恐怖が連鎖し、現実が崩れていくが、それが呪い(怪異)なのか、精神的ショックによる幻覚・幻聴なのかが判然としないまま物語が進む。
